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執筆者の写真sfumita7

絵だから伝えられる

更新日:1月21日



視覚情報


 皆さんが多用している“言語表現”は、日常的に使っている「言葉」の説明により、他者とイメージを共有しやすいという便利さがあります。

 ただ、落とし穴として”思い込み“がじゃまをし「伝わったつもり、勘違いのまま」、あるいは両者の言葉の持つ意味の認識の違いで迷路に入り込み理解し合う為に膨大な量の“不毛な情報”を要することがあります。  

 デッサンは難しく考えがちですが、その表現を理解すれば具体的で明快な伝達手段です。 アーティストのドローイングをみると描写表現以外に伝えている”線が示す感情“の情報を感じ取れます。

例えば「嬉しい、さびしい、怖い、楽しい」といった感情を「言葉」よりも「絵」の方が、その時の微妙なニュアンスを明快に共有することができます。


岩崎ちひろ作品


『忘れっぽい天使(Vergesslicher Engel, 1939)』Paul Klee


『ロンシャンの競馬』1865年エドゥアール・マネ


ワイズバッシュ ドローイング作品


『鳥獣戯画絵巻』


『氷図屏風』 円山応挙


『猫』 藤田嗣治




エチュード[étude]


 絵画で、”エチュード[étude]”が「習作」と訳されていることで練習することのように認識されていますが、本来は「研究し探る」ことです。

 ダ・ヴィンチがエチュードを同じポーズではなく、様々な視点から何度でも描き直すこだわりを観るとその違いが分かります。


『手のエチュード』 レオナルド・ダ・ヴィンチ

『子どもの研究』アカデミア美術館素描版画室



 アマチュアとプロと呼ばれる人の違いは、技巧より意外と”エチュード[étude]”のような取材能力にその差がでるのかもしれません。

 取材は事を起こし遂行するために必要なものなので、一度準備すればそれで終わるのではなく、 事が進むに連れて展開していく変化や状況に合わせて、目標が達成するまで続けるものなのでしょう。




リアリズム[realism]


 西洋文化がなだれ込んだ明治時代に”リアリズム[realism]”を「写実主義」などと間違った認識を植え付ける和訳のまま教育されていることが多々あるのです。

 西洋絵画の写実主義(リアリズム)は、見えていることを写真のように写しているのではなく、見えない情報(におい、味、感触、歴史的背景、思想など)も取り入れて描かれています。

 

 バロック時代の画家カラバッジオが描いた絵も見えない情報が伝わってきます。


『果物籠を持つ少年』1593年 - 1594年 カラヴァッジオ

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