絵画を読み解くことで、歴史や文化といった教養が身につく以外に、観察力や分析力が養われます。何が描かれているか理解するためにはすみずみまでじっくり観察しますよね。
「この人物は何を見ているのだろうか」「なぜこの角度から光が当たっているのだろうか」「うしろにある建物はなんだろうか」「この服装はどんな身分だろうか」など、観察することで浮かんでくる疑問はとてもたくさんあります。そうして得た気づきと、自分がもっている知識を結びつければ、描かれた場面に関する1つの仮説ができあがるでしょう。
このようにして、絵画を見たら自分なりに分析してみるのもおすすめです。あとで解説書などをめくって理解を深めてみてください。こうすることで、見方が広がります。
絵画を読み解くことは、いいかえれば「学び方」を養うことでもあるのです。絵画を鑑賞すること自体の楽しさ、絵画から得られる多種多様な知識、そして自然と身につく学び方。これらの効用は、何も絵画だけから得られるわけではありません。いわゆるアート作品すべてにいえることです。
アートとは「人に影響を与えるもの」という意味です。人に影響を与えるとは、「人を感動させる」ことと同じ意味です。現在、教育やビジネスの現場でアートの力を養うことが重要な課題の1つとなっていますが、アート、すなわち「感動」は私たちの生活を豊かにするのに欠かせないものです。
『バベルの塔』 1563年 ピーテル・ブリューゲル
『紅白梅図屏風』 尾形光琳
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