デッサンって、どんなイメージで、どんな絵を思い浮かべますか? 鉛筆や木炭、コンテなどの画材を使って、モチーフを写真の様に写し描いていく修行のようなイメージを持たれている方が多いようですね。勿論、造形力を磨くために何枚もデッサンを描くといったこともありますが、そもそも「デッサン・デザイン」とも同じ語源である「designare(デシネーレ)」は、計画や考えを示すという意味をもつ設計図や企画書みたいなものです。
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『聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ』 1499年 - 1500年頃 レオナルド・ダ・ヴィンチ ナショナル・ギャラリー
対象(モチーフ)を表面的に写し描かれたものがデッサンではなく、対象の特徴、内部の構造、本質など多角的な視点でとらえる(観察:リサーチ)力、的確に情報を読み解いて意をもって再構築する(思考:コンセプト)力、誤解がないように分かりやすく伝える(伝達:デザイン)力、これらを総合して描いたものがデッサンです。 なぜデッサン力が、「アート&デザイン(特殊な職業)」以外の一般社会人にも効用があり必要なのか?
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一般企業の方たちもクライアントから依頼された、あるいは望んでいる考えや目的を正確に読み解き、コンセプトを構築し、商品化やサービスとして提供、伝達していく必要があります。クライアントと目的を共有するために絵に描ける(思考を視覚化する)ことでコミュニケーション能力も向上していきます。こういったいわゆる画力だけではなく、観察力・思考力・伝達力といった社会を生き抜くために必要となる感覚機能が、デッサンを学ぶことで身につけて磨くことができるのです。
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『子宮内の胎児が描かれた手稿』 1510年頃 レオナルド・ダ・ヴィンチ
ロイヤル・コレクション(ウィンザー城)
教育機関だけではなく、企業や行政の職員の方に向けてデッサンレッスンを取り入れた研修も実施しています。
「一般企業と美術学校の組み合わせって不思議?」
社会人に共通して求められる力である、本当の問題点を発見して、その答え(将来のビジョン)を自ら創造し、そのビジョンを実現(解決)していくための感覚機能(観察力・思考力・伝達力)いわゆる創造性と視覚化が、デッサンの効用といえます。
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