リアクションで感情を伝えた絵
絵画の楽しさがわかると、次はその根底にある思想や文化、作者の考えが知りたくなってくるでしょう。一見しただけではわからない意図など、1枚の作品に非常に多くのメッセージが込められていることもあり、そのような絵画の解釈をめぐっては断定的な評価をしづらいのが事実です。
空想上の動物が描かれているショーヴェ洞窟の壁画
しかし、その時代や作者の生い立ち、そして当時人々が信仰していた宗教や神話を知ることで、その絵画がなぜ描かれたのか、何の場面を描いたのかについて、ある程度は読み解けるようになります。
古代ギリシャ『アンコラ(赤壺)』
"オデュッセイア物語"
主人公オデュッセウスは、19年間の不在(トロイア戦争での戦い後、故郷を目指す波乱万丈の航海)ののち、杖と手荷物とお椀だけをもつ乞食の姿で家に帰ってくる。
彼を育てた老いた乳母が、足を洗っている途中で古い傷に気づき、この人はイタケー島の王オデュッセウスだとわかる。
※芝居(ギリシャの劇作家たちが作り出した舞台芸術)の一場面を描いたもの。”
身のこなしの中に「魂の働き」を表現することができるのです。古代ギリシャの芸術家は言葉にならない感情や気分を伝える術、「感情が体の動きにおよぼす影響」を十分に心得ていました。
古代ギリシャ彫刻
たとえば宗教画には、似た構図の絵がたくさんあります。それは多くの画家たちが為政者の依頼を受けて聖書の一場面を描いたからです。なぜそれを描いたかといえば、文字が読めない人に、聖書の内容を理解させるためです。時の為政者たちの考えを知れば、信仰の力を借りて多くの人々を統べる必要があったこともわかるでしょう。
このように、時代時代に共通する文化や思想が、絵画の形となって表出しているケースは多々あります。時代を知れば絵画を読み解けるようになるというのは、絵画が「その時代を映す鏡」だからなのです
『受胎告知』1475年 - 1485年、ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
レオナルドの完成している絵画としては、最初期の作品と見なされている。
『キリストの哀悼 The Mourning of Christ』 1305年 ジョット・ディ・ボンドーネ
技術の発達も、絵画とは切っても切り離せない関係があります。古くは木片や土、動物の血液などで絵を描きました。
何万年も前に洞窟内の壁に描かれた絵、荘厳な礼拝堂の壁画、屋根裏で描かれた小さなキャンバス。それが技術の進化、ひいては人類の発展とともにさまざまな道具や絵画技法が発明された結果、この時代まで残り、いまなお私たちに感動を与え続けてくれるのです。
『最後の晩餐』1495-97年 レオナルド・ダ・ヴィンチ
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会
誰もが得られる喜び
皆と同じものを日常で見て、同じような環境の中で、 他の人が気づかなかったことが気になり、 気になってしょうがなくなり探求が始まる、それが発見。
『最も高貴な喜びとは、理解する喜びである』 -レオナルド・ダ・ビンチ-
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